自筆証書遺言で、検認を不要にする方法(2020年7月10日以降)

 遺言書を作成するとき、自分で書いて作成する自筆証書遺言を作成すると、亡くなったのちに検認手続きを経なければいけないことがデメリットとして挙げられます。

 検認手続きは、裁判所で行うため、必要書類を整えたり、申し立てから検認まで1か月程度かかるなど、亡くなった後の忙しい時期に行うには、やや手間がかかる手続きです。

 しかし、遺言書に関する法律の改正で、2020年7月10日以降、手間のかかる検認手続きを不要にすることができることになる予定ですので、ご紹介します。

検認手続きとは

検認手続きとは

 遺言書の検認手続きとは、裁判所で、遺言書を確認する手続きです。

 遺言書を保管している者は、相続開始後、遅滞なく、検認をしなければいけない(民法1004条1項)と定められており、検認手続きを経ていない遺言書では、各種相続手続きを進めることはできません。

検認手続きで何をするのか

 検認手続きでは、裁判所で、裁判官立会いの下、遺言書を確認します。

 どのような紙に記載されているのか、ペンは何かなど、見てわかる範囲で確認し、これを調書に残します。

 検認手続きに出席している相続人に対しては、これがなくなられた方の筆跡と思うか、などについて聞かれます。

 遺言書を保管している方(申立人)は、必ず出席しなければなりませんが、他の相続人については、出席しなくても手続きは完了します。

 検認手続きののち、遺言書自体の写しを裁判所が取り、これを保管しますので、検認手続き後は、相続人の方は、検認調書を取り寄せることで遺言書の写しを入手することができます。

検認手続きは遺言書の状態を確認するもの

 検認手続きは、遺言書がどのような状態かを確認してこれを明確にし、、裁判所で記録するための手続きであって、遺言が有効かどうかを確認する手続きではありません。

 そのため、検認手続きを経た自筆証書遺言であっても、これが無効とされる可能性はあります。

検認が不要となる。

 2020年7月10日以降、自筆証書遺言を法務局で保管する制度が実施されます。

 そして、法務局で遺言書を保管した場合、亡くなったのちに検認手続きをしなくてよいことと定められました。

検認手続きが不要となる理由

 詳細は今後決められますが、法務局で保管する際、遺言書を画像データ化して保存することになります。

 また、相続開始後には、相続人は、遺言書の写しを法務局で取得できることとなる予定です。

 法務局で遺言書の状態などを保存することになり、他の相続人が遺言書の存在や内容を知ることもできるようにされたため、別に裁判所で検認手続きをする必要はない、ということが実質的な理由だと思います。

検認を不要にするためには

 2020年7月10日以降、自筆証書遺言を、法務局に保管してもらうことが必要です。

 法務局で保管することで、紛失や滅失の恐れもなくなるため、今後は、自筆証書遺言は作成した後速やかに法務局に預ける方が多くなると思います。

最後に

 自筆証書遺言は、検認が不要になる保管制度の創設などで、非常に利便性の良い遺言になりそうです。

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