遺産分割調停の流れ

 遺産を分ける話し合いがまとまらない場合、遺産分割調停を申し立てることができます。

 そこで、以下では、遺産分割調停の流れについて、裁判所からされる遺産分割調停の説明を踏まえ、ご説明いたします。

遺産分割調停を始めるための申し立て手続き

 遺産分割調停は、裁判所に遺産分割調停申立書を提出することで行います。

 申立書は、裁判所で受け取れるほか、インターネット上からダウンロードできます。

 申立書に添付する書類は、相続人確定のために必要な戸籍謄本や、不動産の登記簿など多岐にわたります。

 裁判所ホームページで確認できますので、申し立てを予定されている方はご確認ください。

 遺産分割調停を申し立てると、裁判所で提出書類を確認し、調整した後、調停の期日が決まります。

遺産分割調停の流れ

 遺産分割調停は、調停委員が、相続人それぞれから事情を聴き、調整しながら進むことになります。

 調停当日は、裁判所の待合室で待機し、調停委員から個別に呼び出され、事情を聴かれます。

 それぞれから事情を聴くのは30分程度で、1日の期日で1~2回、事情を聴かれます。

 調停委員は、それぞれの事情を聞き、必要なことを確認しながら、話合いで合意ができるかを模索していきます。

調停で確認されること

 裁判所の案内では、おおむね以下の順番で、遺産の相続について話を進めていくとされています。

  1. 相続人の範囲の確定
  2. 遺言書の有無
  3. 遺産の範囲
  4. 遺産の評価
  5. 遺産の分割方法

 裁判所のアナウンスでは、それぞれをはっきりと決めてから次のステップに進む、という説明がされますが、実際には、遺産の評価と遺産の分割方法は密接に関連しており、これを切り離して論じることは難しい面があります。

相続人の範囲の確定

 誰が相続人かを確認する作業です。

 通常は戸籍から明らかになりますが、まれに、戸籍に記載されていない相続人がいる場合があり、この場合にはその方が相続人であるかを確定してから次の話し合いに進むことになります。

遺言書の有無

 遺言書がある場合、遺言書を前提に遺産分割をする必要があるため、これを確認します。

遺産の範囲

 何が遺産分割調停で話し合う遺産であるかを確認します。

 法律上、厳密には遺産分割調停の対象とはいえない財産であっても、相続人全員の同意があれば、遺産として話し合いを行うことになります。

 例えば、亡くなったのちに葬儀費用等のために亡くなられた方の預貯金口座から引き出し、保管してある現金などです。

遺産の評価

 不動産については、これを金銭で評価し、分ける話し合いの基礎にします。

 その際、その評価をどうするかを決める必要があります。

 双方で査定を取ったり、固定資産税評価額で合意したり、鑑定まで行うなど、様々です。

遺産分割の方法

 遺産の評価まで決まったら、どの遺産を誰が取得するのか検討します。

 また、この際に、特別受益や寄与分など、具体的相続分を変動させる要素についても検討することになります。

特別受益と寄与分

 遺産の分割方法に関して、法定相続分を修正する要素として、特別受益と寄与分と呼ばれるものがあります。

 大まかに説明すると、特別受益は被相続人から生前に贈与等をうけたもの、寄与分は被相続人のためにお金を出したり、介護などの特別の寄与をしたことを考慮する制度です。

 このうち、厳密には、特別受益は遺産分割調停内で話し合いができますが、寄与分は別に寄与分を定める処分調停をしなければならないことになっておりますので、ご注意ください。

 それぞれの詳細については、改めて記事にします。

まとめ

 遺産分割調停の大まかな流れは以上のとおりです。

 遺産分割調停でお悩みの方は、60分無料法律相談を実施しておりますので、あいなかま法律事務所までご相談ください。