家族信託(民事信託)とは。
家族信託(民事信託)という言葉は聞いたことがある、興味はあるけれども、いまいちよくわからない、今、預貯金や不動産の管理は同居している息子にお願いしているけれども、それとの違いが判らない、という方のために、家族信託(民事信託)についてご説明します。
私自身、この制度を初めて学んだ際は、ご説明がしづらく、メリットがわかりづらい制度だと感じていましたので、私の初めての時の感想をご紹介しながら、ご説明します。
以下では、一般的な名称である民事信託という呼び方を用います。
民事信託のしくみ
民事信託は、自分の財産を他人に預かって、自分の希望する形で管理してもらうものです。
投資信託との比較
株式投資などをされている方は、投資信託というものを聞いたことがあると思いますので、こちらとの比較でご説明します。
投資信託は、投資信託を購入することを通じて、自分の財産を運用会社に運用してもらうことで、利益を上げるものです。
例えば、投資として、外国の株式を購入しようと思っても、個人で株を購入するのはリスクが高く知識がないので、外国株式に投資する投資信託を購入することで、自己の財産を投資会社に預け、その運用を委託しています。
民事信託も、同様に、自分の財産を他人に預けて、その管理を委託するものになります。
投資信託と異なり、不動産などを含めて、自分の思うように管理してもらえるのが、民事信託の利点です。
民事信託を利用しない場合のデメリット
実際には、財産の管理などは同居している子供にやってもらっている、アパート経営しているが、息子が管理会社と窓口になっており、自分はハンコを押すだけ、通帳も印鑑も預けてあって、必要なお金は下ろしてもらっている、それで特に困ったことはない、という方もいらっしゃると思います。
そこで、以下では、このような場合を例に、民事信託をしていなかった場合に困る可能性があることをご説明します。
認知症などになった場合に困る。
上記のケースでは、財産は自分が持っていて、子どもはその手伝いをしているだけであり子どもがハンコを押したりすることはできません。
例えば、不動産の売却などの場合、ご自身が契約する必要があります。
もし、認知症になってしまうと、本人の意思確認ができないということで、契約を締結することができず、成年後見人の選任が必要となります。
成年後見人については、財産の自由な処分がしづらいなど、制度の使いづらさが指摘されており、柔軟な財産の管理・運用ができなくなってしまう可能性があります。
どこまでしていいかはっきりせず、困る。
上記のように、何となく子どもに任せていると、どこまで任せているのかわからない状態になります。
当事者の間では問題ないとしても、他のご家族の方との間で、将来的に、誤解や紛争が生じてしまう可能性があります。
民事信託を活用するメリット
財産の管理の権限をはっきりできる。
民事信託をすることで、財産の管理を、預けられた方(受託者)ができるようになります。
結果として、ご自身が認知症になった場合でも、預けられた方の判断で財産の管理・運用を継続することが可能です。
財産の管理のルールをはっきりできる。
上記と併せて、財産の管理のルールをはっきりとできます。どのような形で使っていいのか、何をしていいのかを明確にしておくことで、後に紛争となることを避けることができます。
長期間できる。
民事信託にすることで、自身がなくなったのちも、財産の管理を任せておくことができます。
配偶者のことが心配であったり、障害を持つお子様への配慮など、民事信託にすることで、自身がなくなった後も安心して任せることができます。
民事信託をする場合の一般的な注意点
上記のようなメリットがある民事信託ですが、これをする場合の一般的な注意点をご説明します。
個々の民事信託では、以下にご説明することのほか、考えなければいけないことが多くありますので、民事信託をご検討の際には、必ず弁護士などにご相談ください。
財産を預けられる信頼できる方を見つける。
民事信託は、財産をあずけ、管理・運用を任せるものですので、任せるに足りる信頼できる方を選定する必要があります。
民事信託を誰が監督するかを考える。
民事信託は、長期間することが予定されており、場合によっては自分の死後も続きます。
時間がたったり、環境や状況が変化することにより、当初信頼できるとして預けた方が、きちんと管理・運用をしてくれなくなるおそれがあります。
このような場合に、誰が、監督するのか、ということを、当初から考えておく必要があります。
まとめ
上記では、民事信託について、一般的な部分を、かいつまんでご説明しました。
民事信託を検討されている方は、60分無料法律相談を実施しておりますので、あいなかま法律事務所までご相談ください。